2020/07/29
自転車屋の生き物歳時記 サワガニ
7月29日
水曜日
自転車屋の生き物歳時記
(いえしま自然体験センター編)
サワガニ
これも
自然体験センターの側溝でたくさん見ました。
サワガニ(沢蟹)Geothelphusa dehaani は、
エビ目(十脚目)・カニ下目・サワガニ科に
分類されるカニの一種。
日本固有種で、
一生を淡水域で過ごす純淡水性のカニである。
学名の種名"dehaani"は、
日本の甲殻類分類に功績があった
オランダの動物学者ウィレム・デ・ハーンに対する
献名となっている。
日本固有種で、
青森県からトカラ列島(中之島)までの
分布とされている。
本土周辺の島嶼では、
佐渡島、男女群島、壱岐諸島、種子島、隠岐諸島、
五島列島、屋久島なども生息が報告されている。
稚ガニとして孵化する
(海流に乗って分布を拡大することができる
プランクトンとしての幼生期間を持たない)ことから
長距離の移動能力に欠けるため、
地域集団毎に遺伝子レベルでの分化が認められる。
また、
21世紀初頭の時点では移入種と見られる個体が
北海道にも分布するとの情報が
インターネット上に散見されるが、
信頼のおける専門家
(博物館・大学・水産研究所・学会など)による
野生個体の確認は一切報告されていない。
国立環境研究所が
以前行った市民調査(既に終了)による結果が
裏付けのないままネット公開され、
ウィキペディアを通じて拡散したことが原因と見られ、
サワガニを見たことのない
北海道民が川に広く分布するモクズガニを
サワガニと誤認し、
長年報告し続けてきたこと
(北海道全土に分布することになっている)
による可能性が少ない。
甲幅20~30mm、脚を含めた幅は50~70mmほど。
体色は甲が黒褐色・脚が朱色のものが多いが、
青白いもの
(地方によっては「シミズガニ」と呼ばれる)、
紫がかったものなども見られ、
よく見られる体色は地域個体群によって異なる。
甲羅には毛や突起などはなく、滑らかである。
オスは右の鋏脚が左よりも大きくなるが、
左のほうが大きい個体もいる。
川の上流域から中流域にかけて生息する。
和名どおり水がきれいな渓流(沢)・小川に多いので、
水質階級I(綺麗な水)の指標生物ともなっている。
日中は石の下などに潜み、夜になると動きだすが、
雨の日などは日中でも行動する。
また、雨の日には川から離れて出歩き、
川近くの森林や路上にいることもある。
活動期は春から秋までで、
冬は川の近くの岩陰などで冬眠する。
食性は雑食性で、
藻類や水生昆虫、陸生昆虫類、カタツムリ、ミミズなど
何でも食べる。
一方、
天敵はヒキガエル、アカショウビン、カワセミ、サギ類、イノシシ、イタチなどがいる。
春から初夏にかけて交尾を行ったあと、
メスは直径2mmほどの卵を数十個産卵し、
腹脚に抱えて保護する。
卵は他のカニに比べると非常に大粒で、産卵数が少ない。
幼生は卵の中で変態し、
孵化する際には既にカニの姿となっている。
稚ガニもしばらくは母ガニの腹部で保護されて過ごす。
同じく川に生息する
モクズガニやアカテガニなどは
幼生を海に放さないと成長できないが、
サワガニは一生を通じて海と無縁に生活する。
寿命は数年~10年程とされる。
孵化時の体色は全て淡黄褐色で
成長に伴い体色が変化していく。
また、
体色変異は照度、餌、底質の色などの
生息環境の要因左右されるとされているが
十分に解明されていない。
1989年(平成元年)に
鹿児島県で調査を行った鈴木廣志、津田英治らの
報告によれば、14mmまでの個体はほぼ茶色型で、
二次性徴が発現する時期の甲幅が
14mm以上になると青色型もしくは
赤色型の体色を呈するようになることが明らかにされた。
また、
鹿児島県内には「赤色型」「茶色型」「青色型」の
個体が生息しているが、
「赤色型」「青色型」分布の境界は、
約6300年前に発生した幸屋火砕流に起因する
堆積物の分布北限とほぼ一致するとしている。
タンガネ(長崎県、「田蟹」の意味)、
イデンコガニ(徳島県つるぎ町、
「いでんこ」とは排水溝の意味)、
和歌山県ではヒメガニという。
これは赤い体色によるものと見られる。
丸ごと唐揚げや佃煮にして食用にされる。
和食の皿の彩りや酒肴などに用いられる。
養殖もされており、
食料品店などでもしばしば目にすることができる。
危険な寄生虫の中間宿主となっているので、
食べる際にはよく火を通さなければならない。
他に、子供にとってはとても身近で扱いやすいペットとなる。純淡水性で雑食性なので、低水温ときれいな水質を保つことができれば飼育も比較的簡単にできる。その場合えさはミミズやキャベツなどを与える。そして水槽には砂を入れ、草も植える。飼育する場合には縄張りに気をつけることが重要である。
その他の利用方法としては指標生物などが挙げられる。
2020/07/29
日米修好通商条約
7月29日
水曜日
日米修好通商条約
1858年7月29日
(安政5年6月19日)
日米修好通商条約締結。
日米修好通商条約
(にちべいしゅうこうつうしょうじょうやく、
英: Treaty of Amity and Commerce Between the United States and the Empire of Japan)は、
安政5年6月19日(1858年7月29日)に
日本とアメリカ合衆国の間で結ばれた通商条約である。
安政五カ国条約の一つ。
江戸幕府が
日本を代表する政府として調印した条約であり、
条約批准書原本には「源家茂」として
当時の14代将軍徳川家茂の署名と
銀印「経文緯武」が押印なされ、
安政7年4月3日(1860年5月22日)に
ワシントンで同批准書が交換された。
欧語では
アメリカ全権タウンゼント・ハリスの名を冠して、
ハリス条約(Harris Treaty)とも通称される。
アメリカ側に領事裁判権を認め、
日本に関税自主権がなかったことなどから、
日本側に不利であり、一般に不平等条約といわれる。
しかし
同条約の付則第七則で定められた関税率は、
漁具、建材、食料などは5%の低率関税であったが、
それ以外は20%であり、
酒類は35%の高関税であった。
2020/07/28
自転車屋の生き物歳時記 アカテガニ
7月28日
火曜日
自転車屋の生き物歳時記
(いえしま自然体験センター編)
アカテガニ
自然体験センター周辺の側溝では
このカニもたくさん見かけました。
アカテガニ(赤手蟹)、
学名 Chiromantes haematocheir は、
十脚目ベンケイガニ科(旧分類ではイワガニ科)に
分類されるカニの一種。
東アジアに分布する中型のカニで、
海岸周辺の湿潤な区域で見られる。
成体は甲幅30mm前後に達し、
オスの方がメスより大きい。
頭胸甲は厚みのある四角形で、
複眼の下の甲側面には鋸歯がない。
鉗脚は左右ほぼ同じ大きさで、
オス成体は鉗脚が大きく発達し、
指が湾曲して噛み合わせに隙間ができる。
メスは鉗脚が小さく、噛み合わせに隙間ができない。
成体の体色は灰褐色で、
背甲中央に微笑んでいるような赤い線がある
(実際の口は腹面)。
背甲は灰褐色だが上部が黄色や橙色に彩られ、
中には背甲全面が橙色の個体もいる。
オスの鉗脚上面は和名通り赤、
指の部分は黄白色をしている。
若い個体やメスは体色が全体的に淡い。
中国東部、台湾、朝鮮半島、日本列島に分布する。
日本では本州から南西諸島までに分布し、
海岸や川辺に多く生息する。
海岸や川辺の岩場、土手、石垣、森林、
湿地等に生息する。
カニの中でも乾燥によく適応した種類で、
クロベンケイガニやベンケイガニより
標高が高い場所まで進出する。
高所に登る習性もあり、
生息地付近では春から秋にかけて人家に侵入したり、
木によじ登る姿も見られる。
深さ数十cmに達する巣穴を自分で掘ることもあるが、
他個体や他種の掘った巣穴、
または石の隙間をそのまま利用することも多い。
人が近づくとそれらの隠れ家に逃げこむが、
特に決まった巣や縄張りはなく、
最も近い隠れ家に素早く隠れる。
また、
逃げきれない場合は鋏脚を大きく振り上げて
威嚇行動を行う。
冬は温度差の少ない巣穴の底にひそんで冬眠する。
昼は巣穴や物陰に潜み、夜に活動する。
食性は雑食性で、動物の死骸から植物まで何でも食べる。
捨てられた生ごみに群がったり、
水田のイネの葉を食べたり、
素早い動きで小魚や昆虫、
フナムシなどを捕食することもある。
天敵はイノシシ、タヌキ、サギ類等だが、
時に共食いすることもある。
カニは鰓呼吸をするので水がないと生きていけないが、
アカテガニは鰓呼吸した水を口から吐き出し、
腹部の脇を伝わせて空気に触れさせ、
脚のつけ根から再び体内に取り入れている。
この水の循環ができるため
わずかな水で生きていくことができ、
むしろ水に長時間浸かっていると
溺れて死んでしまうほどである。
ただしこれを長く繰り返せば水が蒸発して少なくなり、
さらに体液なども混じった水は粘りけが出てくるため、
口から「泡を吹く」ことになる。
雑食性で適度な水分があれば生きていけるため、
成体の飼育は容易な部類である。
ただし幼生の成長には海水が必要で、
飼育下での繁殖は難しい。
食用にはしないが、
一部地方では脳膜炎や発熱の薬として
アカテガニをすりつぶして絞った汁を飲む
民間療法が行われていた。
アカテガニは陸上生活に高度に適応しているが、
成長過程で一時的に海中で生活しなければならない。
春から夏にかけて交尾の終わったメスは産卵し、
0.5mm足らずの小さな卵を腹脚にたくさん抱え
孵化するまで保護する。
やがて胚発生の進んだ卵は黒褐色になり、
中に小さな黒い複眼が見えるようになる。
黒褐色の卵を抱卵したメスは海岸に多数集まってくる。
7~8月の大潮(満月か新月)の夜、
満潮の時間に合わせてメスが海岸に集合する。
メスが体の半分くらいまで海水に浸かって
体を細かく震わせ、腹部を開閉させると同時に
卵の殻が破れてゾエア幼生が海中へ飛びだす。
煙のように泳ぎだした
無数のゾエア幼生は引き潮に乗って海へと旅立つ。
ゾエア幼生は体長2mm足らずで、
頭胸部が大きいエビのような形をしている。
海中を浮遊するプランクトン生活を送り
植物プランクトンなどを捕食しながら成長するが
大部分は魚などに食べられてしまい、
生き残るのはごくわずかである。
ゾエア幼生は3~4週間の浮遊生活の間に
5度の脱皮を経るとメガロパ幼生という形態に変態する。
メガロパ幼生は脚が長くなってカニらしくなり、
海底を歩くことができる。
メガロパ幼生は10月頃に沿岸部に近づき、
甲幅4mmほどの小ガニへ変態を終えた個体から上陸する。
上陸後1~2年はオスメスとも全身が淡黄褐色だが、
成長すると鋏脚が赤く色づく。
2年目には繁殖に参加し、
寿命は数年-十数年ほどとみられる。