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2020/07/28

自転車屋の生き物歳時記 アカテガニ

7月28日
火曜日

自転車屋の生き物歳時記
(いえしま自然体験センター編)

アカテガニ

自然体験センター周辺の側溝では
このカニもたくさん見かけました。

アカテガニ(赤手蟹)、
学名 Chiromantes haematocheir は、
十脚目ベンケイガニ科(旧分類ではイワガニ科)に
分類されるカニの一種。

東アジアに分布する中型のカニで、
海岸周辺の湿潤な区域で見られる。

成体は甲幅30mm前後に達し、
オスの方がメスより大きい。

頭胸甲は厚みのある四角形で、
複眼の下の甲側面には鋸歯がない。

鉗脚は左右ほぼ同じ大きさで、
オス成体は鉗脚が大きく発達し、
指が湾曲して噛み合わせに隙間ができる。

メスは鉗脚が小さく、噛み合わせに隙間ができない。

成体の体色は灰褐色で、
背甲中央に微笑んでいるような赤い線がある
(実際の口は腹面)。

背甲は灰褐色だが上部が黄色や橙色に彩られ、
中には背甲全面が橙色の個体もいる。

オスの鉗脚上面は和名通り赤、
指の部分は黄白色をしている。

若い個体やメスは体色が全体的に淡い。

中国東部、台湾、朝鮮半島、日本列島に分布する。

日本では本州から南西諸島までに分布し、
海岸や川辺に多く生息する。

海岸や川辺の岩場、土手、石垣、森林、
湿地等に生息する。

カニの中でも乾燥によく適応した種類で、
クロベンケイガニやベンケイガニより
標高が高い場所まで進出する。

高所に登る習性もあり、
生息地付近では春から秋にかけて人家に侵入したり、
木によじ登る姿も見られる。

深さ数十cmに達する巣穴を自分で掘ることもあるが、
他個体や他種の掘った巣穴、
または石の隙間をそのまま利用することも多い。

人が近づくとそれらの隠れ家に逃げこむが、
特に決まった巣や縄張りはなく、
最も近い隠れ家に素早く隠れる。

また、
逃げきれない場合は鋏脚を大きく振り上げて
威嚇行動を行う。

冬は温度差の少ない巣穴の底にひそんで冬眠する。

昼は巣穴や物陰に潜み、夜に活動する。

食性は雑食性で、動物の死骸から植物まで何でも食べる。

捨てられた生ごみに群がったり、
水田のイネの葉を食べたり、
素早い動きで小魚や昆虫、
フナムシなどを捕食することもある。

天敵はイノシシ、タヌキ、サギ類等だが、
時に共食いすることもある。

カニは鰓呼吸をするので水がないと生きていけないが、
アカテガニは鰓呼吸した水を口から吐き出し、
腹部の脇を伝わせて空気に触れさせ、
脚のつけ根から再び体内に取り入れている。

この水の循環ができるため
わずかな水で生きていくことができ、
むしろ水に長時間浸かっていると
溺れて死んでしまうほどである。

ただしこれを長く繰り返せば水が蒸発して少なくなり、
さらに体液なども混じった水は粘りけが出てくるため、
口から「泡を吹く」ことになる。

雑食性で適度な水分があれば生きていけるため、
成体の飼育は容易な部類である。

ただし幼生の成長には海水が必要で、
飼育下での繁殖は難しい。

食用にはしないが、
一部地方では脳膜炎や発熱の薬として
アカテガニをすりつぶして絞った汁を飲む
民間療法が行われていた。

アカテガニは陸上生活に高度に適応しているが、
成長過程で一時的に海中で生活しなければならない。

春から夏にかけて交尾の終わったメスは産卵し、
0.5mm足らずの小さな卵を腹脚にたくさん抱え
孵化するまで保護する。

やがて胚発生の進んだ卵は黒褐色になり、
中に小さな黒い複眼が見えるようになる。

黒褐色の卵を抱卵したメスは海岸に多数集まってくる。

7~8月の大潮(満月か新月)の夜、
満潮の時間に合わせてメスが海岸に集合する。

メスが体の半分くらいまで海水に浸かって
体を細かく震わせ、腹部を開閉させると同時に
卵の殻が破れてゾエア幼生が海中へ飛びだす。

煙のように泳ぎだした
無数のゾエア幼生は引き潮に乗って海へと旅立つ。

ゾエア幼生は体長2mm足らずで、
頭胸部が大きいエビのような形をしている。

海中を浮遊するプランクトン生活を送り
植物プランクトンなどを捕食しながら成長するが
大部分は魚などに食べられてしまい、
生き残るのはごくわずかである。

ゾエア幼生は3~4週間の浮遊生活の間に
5度の脱皮を経るとメガロパ幼生という形態に変態する。

メガロパ幼生は脚が長くなってカニらしくなり、
海底を歩くことができる。

メガロパ幼生は10月頃に沿岸部に近づき、
甲幅4mmほどの小ガニへ変態を終えた個体から上陸する。

上陸後1~2年はオスメスとも全身が淡黄褐色だが、
成長すると鋏脚が赤く色づく。

2年目には繁殖に参加し、
寿命は数年-十数年ほどとみられる。

自転車屋の生き物歳時記  アカテガニ

2020/07/28

なにわの日

7月28日
火曜日

なにわの日

七(な)二(に)八(は)で
「なにわ」(難波・浪速)の語呂合せ。

別読み:なみはや(転訛する前)、
なには(歴史的仮名遣)

漢字:難波(「なんば」の別読み)、
浪速、浪花、浪華

万葉仮名:奈尓波、奈仁波

漢字、万葉仮名は
特に読み方が表記されていなければ
「なにわ」と読む。

浪速

摂津国東成郡・西成郡一帯の古称、浪速国。

現在は
南隣の住吉郡の旧郡域を含め
大阪市域の古称・別称として定着している。

古代から難波、浪花表記も多く、
大都市となった近世以降は浪華表記も多用された。

稀だが、
摂津国全域、大阪府域に拡大した使用例も散見される。

なにわの日

2020/07/27

自転車屋の生き物歳時記 ベンケイガニ

7月27日
月曜日

自転車屋の生き物歳時記
(いえしま自然体験センター編)

ベンケイガニ

自然体験センター周辺の
側溝では
淡水系のカニをたくさん見ました。

ベンケイガニもその一種です。

ベンケイガニ(弁慶蟹)、
学名 Sesarmops intermedium は、
十脚目ベンケイガニ科(旧分類ではイワガニ科)に
分類されるカニの一種。

インド太平洋沿岸の熱帯・温帯域に広く分布し、
海岸の塩性湿地や川辺に生息する。

同様に水辺や海辺に生息する近縁種には、
「○○ベンケイガニ」という
標準和名がよく充てられる。

成体は甲幅35mm、甲長25mmほど。

頭胸甲は厚みのある四角形で、
複眼の下の甲外縁に2つの鋸歯がある。

甲の背面は額の中央が窪み、
他の各区域も溝で仕切られ、凹凸がある。

「弁慶蟹」という和名は、
甲のゴツゴツした質感を
武蔵坊弁慶の厳つい形相になぞらえたものである。

鉗脚は鮮やかな橙色だが、指部分は黄白色である。

体と歩脚は橙色から褐色、灰褐色まで個体変異がある。

近縁種のアカテガニ Chiromantes haematocheir は
ベンケイガニによく似るが、
甲外縁に鋸歯がないこと、
背甲の凹凸が低くて丸みがあること、
鉗脚が橙色ではなく鮮紅色であることなどで区別がつく。

インド太平洋沿岸の熱帯・温帯域に広く分布する。

日本では男鹿半島と房総半島以南で見られる。

川辺の河原、土手、石垣、森林、草むらなどに生息し、
東アジアでは
アカテガニやクロベンケイガニ C. dehaani と
同所的に見られる。

ただし、
アカテガニが水から離れた高所にも進出するのに対し、
ベンケイガニとクロベンケイガニは
水からあまり離れず、外敵から逃げる時などは
水中に逃げこむことも多い。

また、暗く湿った物陰を好み、
日中に明るい場所に出ることはほとんどない。

昼間は巣穴や物陰に潜み、夜によく活動する。

食性は雑食性で、
動物の死骸、小動物、植物など何でも食べる。

繁殖期は夏で、
この時期にはアカテガニと同様に抱卵したメスが
海岸に集合し、大潮の満潮時に卵を海に放つ。

直後に孵化した子はゾエア幼生の形態で、
プランクトンとして海中で浮遊生活を送る。

1ヶ月ほどの間に5度の脱皮を経て
メガロパ幼生へ変態し、底生生活に移行する。

メガロパは稚ガニへ変態して
上陸、淡水域へ遡上・定着する。

自転車屋の生き物歳時記  ベンケイガニ