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2020/08/12

自転車屋の生き物歳時記 コクワガタ

8月12日
水曜日

自転車屋の生き物歳時記

コクワガタ

先日の蓬山渓の沢歩き
谷上駅のホームの階段で
コクワガタのメスを見かけた。

クワガタが駅にいるって
さすがに山近くの駅やな。

コクワガタ(小鍬形 Dorcus rectus)は、
コウチュウ目・クワガタムシ科・オオクワガタ属
・コクワガタ亜属の1種で、5亜種に分類されている。

広く分布し、
日本本土では最も普通に見られる
クワガタムシの1つである。

種小名のrectus とは「真っすぐの」という意味である。

国産クワガタムシの最普通種。

「小さい鍬形虫」という意味の和名だが、
日本のクワガタムシの中では決して小さくはなく、
中型種であるといえる。

体長はオスが17~54.4 mm、
メスが21.5~33mm
(飼育下ではオスが最大58.1mm、メスが mm)。

他のオオクワガタ属と同様に体は上下に平たく、
黒い体色をしているが、赤褐色を帯びるものもいる。

オオクワガタやヒラタクワガタに比べると
体幅が狭く細いが、頭盾はヒラタクワガタより幅広い。

オスの大顎は
オオクワガタやヒラタクワガタに比べて細長く、
前方に伸びる。

大アゴの中央から前方1/3くらいの位置に内歯
(内側のトゲ)を1対だけ有し、
先端にもとても小さい内歯を1対持つ。

小さなオスではこれらの歯は消失する。

オスの頭部背面、前胸背板、上翅は
全体に密で浅い艶消しがあり光沢は弱い。

内歯が全て消失した小型個体はかつて
「ヒメクワガタ」の和名を与えられ
別種と考えられていた。

メスの場合は
前胸背板にやや強い光沢を持ち、
上翅の縦縞は平行となる。

同じコクワガタ亜属のスジクワガタ D. striatipennis や
ネブトクワガタなどとよく似ていて
混同されることもあるが、
オスの大アゴに歯が1つしかないこと、
前翅に線がないことなどで区別できる。

またネブトクワガタは本種とは大きく生態が異なり、
幼虫は主としてシロアリが食害した腐植質を餌とする。

日本・朝鮮半島・中国・台湾

東アジアに広く分布し、
日本でも北海道から九州まで全国に分布する。

個体数は他種のクワガタムシよりも多く、
見かける機会は最も多いと言える。

主にクヌギ・コナラなどで構成される
雑木林や里山、森林・山間部沿いの
河川敷のヤナギやアキニレ林に生息している。

平地性のクワガタムシの代表格であるが、
本種は他のクワガタムシの少なくなる
ブナ・ミズナラ帯などの高標高地にも生息しており、
圧倒的な生息数・環境への適応力を誇る。

森林だけでなく、
街路樹や公園の樹木などの都市部の
小規模な緑地でも見られることがあり、
ノコギリクワガタと並んで日本のクワガタムシの中では
最もなじみ深い種類である。

木を蹴ると落ちてくるので、採集もしやすい。

野外で成虫は5月から10月中旬ごろまで活動し、
おもにクヌギ・コナラ・アベマキ・カシ・ヤナギ・ニレ・アカメガシワ・シラカシ・オニグルミなど
多様な広葉樹の樹液に集まり、
樹液以外にも熟した果実などに集まることもある。

樹液を出す樹木の少ない山間部などでは、
メスがヒメオオクワガタやアカアシクワガタの様に
樹皮を削り、自ら樹液を出す行動を取ることもある。

他にも朽木の中に潜んでいたり、
夜間に灯火に飛来したりする。

特に越冬明けの春から初夏に飛来することが多い。

夜行性だが、
オオクワガタやヒラタクワガタほど
徹底している訳ではなく、昼間にも活動する。

樹液の他には、
産卵木である広葉樹の朽木の上や、
木の洞や樹液の出ている
木の根元や土中でも見つけられることがある。

幼虫は広葉樹の朽木に穿孔し、その材を食べて成長する。

クスノキのような殺虫成分を持たなければ
食樹の樹種は問わない。

クスノキであっても腐朽の進行により
殺虫成分が減衰していれば、しばしば穿孔している。

稀ではあるが
針葉樹であるマツの朽木から発見される例もある。

野生下では
孵化から蛹化にまる1年かかるのが普通であるが、
寒冷な環境では2年かかることもある。

蛹の期間は約3週間。

羽化した成虫の成熟には1か月を要するが、
夏から秋に羽化した場合、
そのまま越冬して翌年春に活動を開始する場合が多い。

一旦野外活動を開始した成虫は、
一部の個体はその年に一生を終え、
残りの個体はそのまま越冬する。

しかし越冬した個体も大半は翌年夏に一生を終え、
再越冬する個体は僅かである。

また当期の夏を生き抜き、
運良く越冬準備に入れた個体も体力的に衰えを迎え、
寒さに耐えきれず越冬中に死亡するケースも少なくない。

自転車屋の生き物歳時記  コクワガタ

2020/08/12

航空安全の日

8月12日
水曜日

航空安全の日・茜雲忌

1985年(昭和60年)8月12日

520人の犠牲者を出した
日本航空123便墜落事故にちなむ。

遺族らがつくる「8・12連絡会」が編集した
メッセージ集のタイトルから
「茜雲忌」とも呼ばれる。

日本航空123便墜落事故。

日本航空の羽田発伊丹行きの
ボーイング747型機が、
群馬県の高天原山の山腹「御巣鷹の尾根」に墜落。

乗客乗員520名が死亡。

4人が生還(発見は翌13日早朝)
単独機としては世界最悪の航空事故。

航空安全の日

2020/08/11

自転車屋の生き物歳時記 コオニヤンマ

8月11日
火曜日

自転車屋の生き物歳時記

コオニヤンマ

先日の蓬山渓の沢歩きでは
コオニヤンマを始め
サナエトンボの仲間がたくさんいました。

コオニヤンマ
(小鬼蜻蜓、学名:Sieboldius albardae Sélys, 1886)は、蜻蛉目サナエトンボ科に分類されるトンボの一種。

東アジアの温帯域に分布する大型のトンボである。

和名は「小型のオニヤンマ」の意であり、
「ヤンマ」の名がつくが、
分類上はヤンマ科でもオニヤンマ科でもない。

学名の属 Sieboldius は
日本の文化や生物を研究した
フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトへの献名、
種名 albardae も昆虫研究家 Albarda への献名である。

なお、
記載者のエドモン・ド・セリ・ロンシャンは、
日本産コオニヤンマの標本と、
よく似たボルネオ産同属種の標本とを
取り違えていたため、
日本に分布しないはずのボルネオ産のものが
「日本の」を意味する種名
S. japponicus Sélys, 1854 として記載され、
日本産のコオニヤンマが
日本と関係い種名 S. albardae Sélys, 1886 として
記載されてしまった。

いったんつけた学名は手違いでは訂正できず、
両種とも学名が記載当初の通りに使用されている。

日本、中国、朝鮮半島、極東ロシアまで、
東アジアに分布する。

日本では北海道から九州、
さらに周辺離島の佐渡島・隠岐諸島
・五島列島・対馬・種子島・屋久島までみられるが、
北海道や各地の山岳地帯などでは分布が限られる。

成虫は
オスで全長81~93mm、後翅長46~54mm、
メスで全長75~90mm、後翅長48~62mm。

サナエトンボ科の中では日本最大種である。

体の大きさに比べて頭が小さく、後脚が長い。

未熟期は複眼が深緑色だが
成熟すると澄んだ緑色に変わる。

日本産トンボとしては大型種で、
名の通りオニヤンマ
Anotogaster sieboldii にも似ているが、
コオニヤンマの複眼は接しないのに対して、
オニヤンマの左右の複眼は頭部中央で接する。

また休息時は
オニヤンマは木の枝などにぶらさがって止まるが、
コオニヤンマは腹を水平にして止まる。

幼虫(ヤゴ)は広葉樹の枯れ葉のような体形で、
日本産トンボ類の中でも特に幅広・扁平な形である。

ヤゴの形態はコヤマトンボやオオヤマトンボにも似るが、コオニヤンマのヤゴは触角が丸いうちわ型であることと、前脚と中脚が短いことで区別できる。

成虫は5月上旬頃から羽化し、9月頃まで見られる。

羽化後は水域近くの草むらなどで活発に摂食活動を行う。

成熟個体は河川上流域から中流域にかけて、
河原の石の上や枝の先などによく静止している。

北海道では湖岸でも見られる。

産卵は雌が単独で打水産卵を行う。

幼虫は河川の流れが緩い区域の、
転石下や積もった落ち葉の中に潜む。

山間部の清流から農村部のやや汚れた川まで見られるが、汚染の激しい都市部の川にはまず見られない。

他の水生昆虫などを捕食して成長し、
成虫になるまでに2~4年を要する。

また終齢幼虫の腹部は平たいにもかかわらず、
羽化の際に成虫が腹を抜いた時には
既に細長くなっている。

自転車屋の生き物歳時記  コオニヤンマ