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2023/07/26

連続テレビ小説「らんまん」登場植物シリーズ ムジナモ

7月26日
水曜日

連続テレビ小説「らんまん」
登場植物シリーズ

ムジナモ

ムジナモ
(貉藻、狢藻、Aldrovanda vesiculosa)は、
モウセンゴケ科ムジナモ属の多年草の水生植物であり、
1属1種の食虫植物である。

日本を含む世界各地に分布するが、
自然環境下での生息地は50カ所程度と少ない。

浮遊性の水草で、
根は発芽時に幼根があるだけで通常はない。

葉がハエトリグサと同じく
二枚貝のような捕虫器官になっており、
ミジンコなどの動物プランクトンを捕食する。

細長い茎を中心にして、
捕虫葉が風車のように放射状に輪生する。

植物全体の印象は、
似た和名を持ち小さな袋状の捕虫葉を持つタヌキモが
二次元的・平面のように広がって見えるのに対し、
ムジナモは三次元的・円柱のように見える。

また、
その形がタヌキの尻尾のようなので、
発見者である植物学者の牧野富太郎は
和名をつけるとき「タヌキモ」と命名したかったが、
既にタヌキモという植物があったため、
タヌキの別名であるムジナから
「ムジナモ」と名付けられた。

英名は Waterwheel plant と、
水車の名が与えられている。

茎は5cmから30cmほどの長さになり、
夏期には1日に1cm伸びることもある。

途中で脇芽を出して枝を伸ばし、
基部が枯れ落ちていくことで分離、増殖していく。

葉柄の長さは5mmから8mmで、
その先に付く捕虫葉は5mm程度。

捕虫葉の内側には
ハエトリグサと同じく感覚毛が生えているが、

数は約40本と多く、1回の刺激で葉が閉じる。

閉じる速さも50分の1秒とハエトリグサより遙かに速い。

しかし捕虫葉が小さく水中にあるため観察は困難である。

葉を閉じると狭窄運動を行い、
消化酵素を出し、養分を吸収する。

冬期は先端に冬芽(殖芽)を作り、
水底に沈んで越冬する。

春になると冬芽は浮上し、
水温の上昇と共に成長していく。

7月から8月、
水温が30度を超えるようになると
茎の途中から花茎を1本伸ばすが、
花を咲かせることは希で
閉鎖花の状態で終わってしまうことが多い。

開花は昼の1時間から2時間ほどで、
白もしくは緑白色の小さな花が1つ咲く。

種子は翌年の初夏に発芽する。

世界で初めて発見されたのは17世紀末のインドで、
その後ヨーロッパとオーストラリアで発見されている。

最初の発見地であるインドの他に、
ロシア、オーストラリア、フランス、イタリア、ドイツ、オーストリア、スイス、チェコ、スロバキア、ハンガリー、ユーゴスラビア、ルーマニア、ブルガリア、ガーナ、スーダン、カメルーン、タンザニア、ボツワナ、
日本などで発見され、南北アメリカを除く
ヨーロッパ、アジア、アフリカに点在する事が知られた。

しかし、
その後それらの地域の自生地の多くで
近代化に伴う水質汚濁や開発などによる
埋立で絶滅している。
イギリスやシベリア等から
花粉や種子の化石が発見されており、
氷期以前に熱帯から北へと
分布を広げたと考えられている。

1950年代にロシアとボツワナでの報告後の一時期、
日本以外の自生地での生息が確認されず、
宝蔵寺沼が「ムジナモ最後の自生地」と
言われた時期もあった。

しかしその後
ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、
ロシア、オーストラリアなどから再発見の報告が届き、
現在も細々とではあるが
世界各地に分布していることが確認された。

またスイスなどでは
人工的に自生地が復元されたりもしている。

日本でも
1890年に牧野富太郎により江戸川近くで発見されたが、1960年代後半までに野生個体群は消失したとされていた。

2022年10月に
石川県の農業用ため池で発見された個体群が、
遺伝子解析などの結果、
人為的な持ち込みでなく自然で生き残っていたものと
確認された。

この池では
従来ムジナモは見られなかったものの、
水生植物は休眠していた種子が
生息地の環境変化で発芽することがあり、
周辺にある森林の間伐で日射が増えたことが
発芽を促した可能性が指摘されている。

連続テレビ小説「らんまん」登場植物シリーズ  ムジナモ

2023/07/26

幽霊の日

7月26日
水曜日

幽霊の日

文政8年(1825年)7月26日

鶴屋南北作の
『東海道四谷怪談』が
江戸・中村座で
初演されたことに由来。

幽霊の日

2023/07/25

自転車屋の生き物歳時記 ミンミンゼミ

7月25日
火曜日

自転車屋の生き物歳時記

ミンミンゼミ

ウチの近隣ではいつも
クマゼミの鳴き声が聞こえていますが
昨日の夕方
ミンミンゼミが鳴いていました。

いつも
クマゼミの鳴き声ばかり聞いているので
ミンミンゼミの鳴き声は
新鮮味がありました!

ミンミンゼミ
(ミンミン蟬、蛁蟟、学名 Hyalessa maculaticollis) は
セミの一種。

和名通りの「ミーンミンミンミンミンミー…」
という鳴き声がよく知られている。

分類については
従来までは属に Oncotympana が用いられていたが、
フィリピン産のタイプ種との違いが指摘され、
Hyalessa に変更された。

成虫の体長は33-36mmほど。

幅が狭い頭部と太くて短い腹部を持ち、
太く短い卵型の体型をしている。

ただし翅が体に対して大きく、
翅を含めるとアブラゼミとほぼ同じ大きさになる。

体色は胸部と腹部の境界付近が白いが、
他は黒地の地に水色や緑色の斑紋があり、
日本産のセミとしては比較的鮮やかな体色をしている。

黒斑部がほとんどなく青緑色主体の個体もおり、
これらはミカドミンミンと呼ばれる。

抜け殻はつやがなく
アブラゼミと同じくらいの大きさ。

また、
このセミはアブラゼミやニイニイゼミなどとは異なり、
ヒグラシやエゾハルゼミと同じく森林性であるが、
東京都区部や神奈川県横浜市、
宮城県仙台市などでは例外的に街中でも
ミンミンゼミが数多く生息する。

日本国内では
北海道南部の渡島半島から本州、九州とその周辺島嶼
(対馬、甑島列島)にかけて分布する。

北海道ではこのほか、
孤立した生息地として定山渓温泉(札幌市)、
道東の屈斜路湖に突き出た和琴半島がある。

かつては北海道全域に生息していたが、
気候の寒冷化に伴い分布北限が南下した際に、
温泉や火山活動により
地熱が高い所で生き残ったと推測されている。

地元の昆虫研究家の観察によると、
和琴のミンミンゼミの幼虫は多くが樹木に上らず、
クマザサの葉裏で羽化する。

「和琴ミンミンゼミ発生地」は分布北限として、
1951年に国の天然記念物に指定された。

「和琴半島のミンミンゼミ個体群」が
北海道のレッドリストの「地域個体群」の
指定を受けている。

東日本では平地の森林に生息し、
都市部の緑地などでも多いが、
西日本では都市部にはほとんど生息しておらず、
やや標高が高い山地を好んで生息している。

成虫は7月-9月上旬頃に発生し、
サクラ、ケヤキ、アオギリなどの木によく止まる。

日本のミンミンゼミは
土地の気候条件によって分布する範囲が限定されやすい。

そのため
アブラゼミをはじめとする他のセミと比べ、
非常にいびつな分布をしている。

分布決定にはもちろん、
他の原因(異種間の棲み分け、植生、土壌の湿度等)が
絡むこともあるが、
とりわけ重要な決定要因として気候が挙げられる。

もっともこれは
ミンミンゼミに限らずほぼ全ての昆虫において
見られる傾向であるが、
とりわけミンミンゼミにおいては
この傾向が強く見られる。

これは、
気候の変化に対するミンミンゼミの感度が強く、
繊細な昆虫であることを意味する。

自転車屋の生き物歳時記  ミンミンゼミ