ブログ

2024/03/19

自転車屋の生き物歳時記 イボニシ

3月19日
火曜日

自転車屋の生き物歳時記

イボニシ

イボニシ(疣辛螺・疣螺) Thais clavigera は、
腹足綱 アッキガイ科 に分類される
肉食性の巻貝の一種。

極東アジアから東南アジアの一部まで分布し、
潮間帯の岩礁に最も普通に見られる貝の一つ。

しかし分類学的には
未解明の部分もあるとされる。

他の貝類を食べるため養殖業にとっては害貝であるが、
磯で大量に採取し易いために食用にされたり、
鰓下腺(パープル腺)からの分泌液が
貝紫染めに利用されたりする。

日本(北海道南部以南~九州)やロシア極東部、
朝鮮半島、中国沿岸~マレー半島周辺まで広く分布する。

この地域では
潮間帯の岩礁などで最も普通に見られる貝類の一つ。

岩礁以外でも岸壁や堤防、
干潟、河口など様々な場所に棲息し、
転石下などに多産する場合もある。

ただし、
いずれの場所でも石やカキ礁などに
付いていることが多く、
全く泥や砂だけの干潟や砂州などには普通は見られない。

20世紀末頃には、
船舶などのへの生物付着を防止する目的で使用された
有機スズ塗料が海中に溶け出し、
イボニシなどを含む貝類のインポセックス現象
(雌にオスの生殖器ができて不妊化する現象)
が生じたほか、有機スズは一定濃度を超えると
ベリジャー幼生も殺してしまうために
イボニシの個体数が各地で激減したとされるが、
その後の塗料規制により
一部海域では復活しているとも言われている。

独特の苦味があるが、
塩茹でや、煮付け、味噌汁の具などに利用されるほか、
殻のまま潰して作るニシ汁などに利用される。

但し、
一般的に広く流通することはほとんどなく、
産地で消費される事が多い。

また、
他のアッキガイ科と同様、
外套腔内の鰓下腺(パープル腺)からの分泌液を利用して貝紫染めに利用されることがある。

この染色はかつては実用とされていたが、
今日では博物館などの体験学習として
行われることが多い。

他には貝細工にも利用されることがある。

自転車屋の生き物歳時記  イボニシ

2024/03/19

ミュージックの日

3月19日
火曜日

ミュージックの日

音楽関係者の労働団体
・日本音楽家ユニオンが
1991年(平成3年)に制定。

「ミュー(3)ジック(19)」の語呂合せ。


ミュージックも大事で必要やね。

ミュージックの日

2024/03/18

自転車屋の生き物歳時記 ウミニナ

3月18日
月曜日

自転車屋の生き物歳時記

ウミニナ

春になって来ましたので
生き物ですが
しばらくは貝特集で行きます。

ウミニナ
(海蜷、学名:Batillaria multiformis)は、
吸腔目ウミニナ科に分類される塔形の巻貝の一種。

極東に分布し、
淡水の影響のある海岸や河口といった汽水環境の、
主に砂泥や砂礫などの(干潟)に生息する。

時には岩礁性の環境に見られることもある。

韓国名は「갯고둥」、
中国名は「多形滩栖螺」(多形灘棲螺)、
台湾では「多型海蜷」とも言う。

また同様の環境には
ウミニナによく似た外見や生態を示す巻貝も多く、
大規模な産地では
これらの複数種が共存することも少なくない。

日本ではそれらを総称して
「ウミニナ」「ウミニナ類」などと呼ぶことがある。

成貝の貝殻は
殻高35mm、殻径13mmほど、塔形で堅い。

螺層(巻き)は8階ほどになる。

巻きの中ほどが膨らみ、
円錐形というより水滴形を長くした形に近い。

貝殻の色は灰色や灰褐色が多いが、
縫合(巻きの繋ぎ目)の下側に
白い帯模様が入るものも多い。

日本では
陸奥湾(青森県)にいる孤立した個体群が北限で、
その南の生息水域は、
太平洋側では長面浦(宮城県石巻市)、
日本海側では能登半島(石川県)である。

日本以外では
朝鮮半島と中国沿岸に分布する。

南西諸島に分布するのは
同属のリュウキュウウミニナ
B. flectosiphonata である。

河口や内湾などの汽水域に生息し、
干潟の砂泥上に群れをなす。

多産地では
潮間帯上部の一定区域がウミニナで埋め尽くされる。

砂泥上に多いが、
付近の転石帯や岩の上などにも見られる。

和名に「海」とあるが、
ある程度は淡水の影響がある所でないと見られない。

ホソウミニナと同所的に生息する場所では、
ウミニナの方が
高潮位に生息することが報告されている。

干潮時に地上を這い、主にデトリタスを摂餌する。

ただし這う時間は20-30分ほどで、
じっとしている時間の方が長い。

砂泥に半ば埋まったものもよく見られる。

たまに殻上に
背の高い小さなカサガイが付着したものがある。

これはユキノカサガイ科のツボミガイで、
他にも少数ながら
フジツボやカキが付着したものもいる。

人や地域によってはこれらのウミニナ類を食用にする。

日本ではこれらが豊富に得られる
瀬戸内地方から九州にかけての地域でよく食べられ、
例えば佐賀県では「ホウジャ」、
長崎県では「ホウジョウミナ」などと総称し、
塩茹でなどで食べる。

食べる際は五円硬貨の穴で殻頂を折り、
殻口から身を吸う。

また台湾などではこの類を「zh:燒酒螺」と総称し、
ピリ辛味に調理したものなどが街中でも売られる。

食用以外には肥料としてそのまま畑に撒く人もいる。

ウミニナは20世紀中頃までは、
その分布域内では
極めて普通に見られる貝の一つであった。

しかし20世紀後半に入ってからは
各地で減少傾向が顕わになり、
20世紀末頃には一部地域で消滅、
もしくは非常に稀にしか見られない状況となった。

最大の原因は
生息環境の干潟が埋め立てや干拓などで
激減したことによると推定されており、
似た環境を好むフトヘナタリやカワアイなども
同じように著しく減少した。

しかし、
他のウミニナ類と生息環境が
よく似ているにもかかわらず、
ホソウミニナだけは生息数に大きな変化がないことから、干潟の減少以外にも何らかの要因があるとして、
発生様式の違いが注目された。

すなわち、ホソウミニナは直達発生のため、
卵から這い出した稚貝が親貝の生息環境に直接加入し、
再生産が効率よく継続されて
個体群が維持されると考えられるのに対し、
その他のベリジャー幼生期をもつ種では、
近隣に適した干潟が少なければ、
浮遊幼生がそこにたどりつけないままに
消耗する率が高くなり、
個体群への新規加入が
困難となるとの推論がなされた。

その後、
ウミニナもベリジャー発生であることが
確かめられたことで、先の推論どおり、
産卵期である夏季の東京湾内の貧酸素化や
着底可能な干潟の減少で、
浮遊幼生が生き延びて
無事に着底できる率が低下するために、
湾内のウミニナ個体群の維持が
困難になっているのではないか、との説も出されている。

岩礁海岸に生息するものとしては
カヤノミカニモリ(Clypeomorus bifasciata)が
減少傾向にあり、
沖縄県では準絶滅危惧(NT)、
熊本県では絶滅危惧ⅠB類(EN)、
長崎県では絶滅危惧ⅠA類(CR)、
岡山県では絶滅危惧Ⅰ類、
千葉県では最重要保護生物(A)に指定されており、
愛媛県では既に絶滅したと考えられている。

環境省レッドデータブックには
2012年に準絶滅危惧(NT)に登録された。

一方、
愛媛県では1980年代半ばには
生貝がほとんど見つからずに絶滅状態に近かったものが、1998年前後からは増加傾向に転じ、
その後一部の地域では
多数見られるようになったという事例も
報告されているが、その理由は明らかになっていない。

自転車屋の生き物歳時記  ウミニナ