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2024/06/12

自転車屋の生き物歳時記 ハッチョウトンボ

6月12日
水曜日

自転車屋の生き物歳時記

ハッチョウトンボ

昨日
京都で希少な天然記念物の
ハッチョウトンボが飛来したと言う記事を見ました。

ハッチョウトンボ
(八丁蜻蛉、Nannophya pygmaea)は、
トンボ科ハッチョウトンボ属のトンボの一種。

日本一小さなトンボとして知られ、
世界的にも最小の部類に属する。

パキスタン、インド、ネパール、中国、台湾、
マレーシア、ミャンマー、タイ、フィリピン、
ニューギニア、韓国、日本、ソロモン諸島、
オーストラリア北部など、
東南アジアの熱帯域を中心に広く分布する。

DNA解析により
地域によって大きな差異が確認されていて、
複数の種に再分類される可能性がある。

日本では
青森県から鹿児島県に至る本州、四国、
九州に分布するが、離島には生息していない。

日本国内での分布は局所的で、
さらに近年の開発や環境汚染により
著しくその数を減少させている。

長野県駒ヶ根市で市の昆虫に指定されている。

和歌山県古座川町では、
町指定天然記念物に指定している。

古座川町は生育地となっている休耕田を買い取ったり、
防護柵を取り換えたり、
盛り土を整備したりするなどの環境づくりを進めている。

成虫の体長はオスが17-21 mm
(腹長10-14 mm、後翼長12-16 mm)、
メスが17-21 mm(腹長9-13 mm、
後翼長13-16 mm)で極めて小さい。

一円玉(直径20 mm)の中に
頭から腹端までが納まるほどの大きさである。

オスの体は羽化直後は橙褐色だが
成熟すると体全体が赤みを帯び、
羽化後20日ほどで鮮やかな赤色となる。

メスは茶褐色で、腹部に黄色や黒色の横縞がある。

翅の大半は透明であるが、
付け根付近は美しい橙黄色になる。

幼虫(ヤゴ)も体長9 mmと非常に小さく、
緑色を帯びた褐色であるが、
体表が泥で被われていることが多い。

主として平地から丘陵地・低山地にかけての
水が滲出している湿地や湿原、
休耕田などに生息しているが、
時には尾瀬ヶ原のような高層湿原でも
見られることがある。

いずれも日当たりがよく、
ミズゴケ類やサギソウ、モウセンゴケなどが生育し、
極く浅い水域がひろがっているような環境を好む。

成虫は5~9月に出現する。

成熟したオスは小さい縄張りを持ち、
静止状態でメスを待つ。

名前の由来は、
尾張の本草学者・大河内存真
(おおこうち ぞんしん:1796-1883)による
『蟲類写集』に「ヤダノテツポウバハツチウメ」
(矢田鉄砲場八丁目)のみで発見せられるために
「ハツチウトンボ」の名を有する、
との記載に因むとされる。

この矢田鉄砲場八丁目の
詳しい場所は現在不明とされるが、
名古屋市内の矢田川付近と見られている。

また一説には
矢田河原八丁畷(現在の名古屋市千種区周辺)で
発見されたことに由来するとの説もあるが、
この説の根拠はよくわかっていない。

学名の pygmaea は
「Pygmaei(伝説上の小人)の~」の意で、
小さいことに由来する。

国際自然保護連合(IUCN)により、
レッドリストの軽度懸念(LC)の指定を受けている。

日本では以下の多数の都道府県により、
レッドリストの指定を受けている。

環境調査のための指標昆虫のひとつに選定されている。

絶滅 - 埼玉県、東京都本土部

絶滅危惧IA類 - 山梨県、高知県

絶滅危惧I類 - 群馬県、香川県、愛媛県

絶滅危惧IB類 - 静岡県、長崎県、大分県

絶滅危惧II類 - 宮城県、奈良県、鳥取県、広島県
、佐賀県、熊本県、宮崎県

準絶滅危惧 - 秋田県、山形県、京都府、大阪府
、和歌山県、島根県、徳島県

希少種(環境省の準絶滅危惧相当) - 茨城県、富山県

Cランク - 兵庫県(環境省の準絶滅危惧相当)

その他 - 岩手県(Dランク)、栃木県(要注目)
、福井県(要注目)、岡山県(希少種)、
鹿児島県(分布特性上重要)

自転車屋の生き物歳時記  ハッチョウトンボ

2024/06/12

日記の日

6月12日
水曜日

日記の日

1942年6月12日

ポーランド系ユダヤ人の
アンネ・フランクによって
『アンネの日記』が
書き始められたことにちなむ。

他には

恋人の日
エスペラントの日
みやぎ県民防災の日
バザー記念日

などがあります。

日記の日

2024/06/11

自転車屋の生き物歳時記 オニヤンマ

6月11日
火曜日

自転車屋の生き物歳時記

オニヤンマ

先週
家の前でオニヤンマが飛んでいるのを見た。

下町の町中でまさか
オニヤンマが見られるとは思ってなかった。

オニヤンマ(鬼蜻蜓、馬大頭、
学名:Anotogaster sieboldii Sélys, 1854)は、
トンボ目オニヤンマ科に分類されるトンボの一種。

日本最大のトンボとして知られる。

学名の種名"sieboldii" は、
日本の生物研究に功績を残した
フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトに対する
献名である。

成虫の腹長はオス70 mm・メス80 mm、
後翅長はオス55 mm・メス65 mmほど。

頭部から腹の先端までは9-11 cmほどに達する。

メスはオスより大きく、尾部に産卵弁が突き出る。

左右の複眼は頭部中央でわずかに接する。

生体の複眼は鮮やかな緑色だが、
標本にすると黒褐色に変色してしまう。

体色は黒だが、胸の前に「ハ」の字模様、
胸の側面に2本の斜め帯、腹の節ごとに
1本の細い横しまと、体の各所に黄色の模様が入る。

成虫がよく見られるのは、
水のきれいな小川の周辺や森林のはずれなど
日陰の多い涼しい場所だが、
活動域は広く平地の湿地から山間部の渓流まで見られる。

これらに隣接する都市部にも出現し、
人々を驚かせることもある。

ヤンマ科のような他の大型トンボ類が好むような
広い池や湖などを生息場所としない為に、
これらの広大な水域の開発や水質汚染等によって
減少傾向が強いヤンマ科などのトンボ類に比べ、
小川や林の中の流水といった環境が
残されている地域ではよく見られるトンボである。

一方南西諸島では、
上記のように生息域が山地の源流部とかなり局限される。

成虫は6-9月頃に発生し、
未熟時期には山頂付近や丘陵地の林道などで
よく目撃され、
また、都市部では車道や歩道に沿って
飛行する姿を見かける。

成熟すると流水域に移動してメスを求め往復飛翔する。

大柄にもかかわらず飛行中の体温は
他のヤンマ類と同じか若干低めで40℃前後、
パトロール速度は平均して2メートル/秒で、
朝晩の気温の低いときは速く、
日中の気温が高いと遅くなる。

また、パトロール時の水面からの飛行高度は
概ね20センチ以下で、
気温が低くなる時期には飛行高度は低くなる。

草木に止まって休むときは、
ふつうのトンボのように
腹を水平方向に持ち上げて止まることはなく、
他のヤンマ類同様脚の爪を草木に引っかけて
大きな体をぶらさげる体勢をとる。

トンボ類は家庭で使用する
扇風機などの回転体にしばしば反応して
接近するものがあるが、
ひもの先に小石などをくくりつけたものを
ぐるぐる回して採集する方法が知られており、
トンボの前で指をぐるぐる回すと
簡単に捕れるのと同じ理屈である。

トンボ一般と同じく食性は肉食性で、
ガ、ハエ、アブ、ハチ、ほかのトンボ類などを
空中で捕食する。

樹の枝にとまり
ニイニイゼミ等を捕食していた事例もある。

これを利用して体に付けて虫よけにする
オニヤンマの模型の商品がある。

オニヤンマの黒と黄に似たトラロープでも虫よけになる。

大顎の力も強く、咬まれると出血することもあるので
捕獲した際などは注意が必要である。

主な天敵としては、
スズメバチ類、鳥類やコウモリなどが挙げられる。

オニヤンマのオスは流れの一定区域をパトロールし、
侵入する同種個体に接触を図る。

オスに出会うと激しく追いかけて排除し、
メスに出会うと捕まえて交尾をおこなう。

交尾の終わったメスはオスから離れ、
単独で水のきれいな小川や湧き水の流れ込む
水たまりなどに向かう。

産卵が行われ幼虫が育つ水域は、
巨大な体に似合わず、大規模な河川や湖沼ではなく、
小規模で緩やかに水が流れ
あるいは入れ替わる小水域である。

メスは適度な産卵場所を見つけると、
体を立てて飛びながら、
ストンと体を落下させるようにして
水際ぎりぎりの浅い水底の柔らかい泥や砂の中に
産卵弁を腹の先ごと何度も突き立てる動作を行う。

泥に産卵弁が突き立った瞬間に、泥の中に産卵する。

卵は1ヶ月ほどかかって孵化する。

孵化した幼虫(ヤゴ)は半透明の白色で、
成虫のような翅がなく、腹部も短い。

本種のヤゴは、ヤンマ類のものとは異なり、
途中にくびれがなく、足も太短く、
全身に細かい毛が生えている。

幼虫は水底の砂泥に浅く潜り、
目だけを出して獲物を待ち伏せる。

獲物が上を通りかかると、
鋏がついた下唇を伸ばしてすばやく捕獲し、
大顎で齧って食べる。

最初は
ミジンコやアカムシ、ボウフラなどを捕食するが、
やがてオタマジャクシや小魚、他種のヤゴなどを
捕食するようになり、えさが少ないと共食いもして、
強い個体が生き残って成長する。

多くのトンボのヤゴと異なり、
水底を歩く事がもっぱらで、体内に水を取り込んで、
肛門から水を輩出して勢いよく泳ぐという事は出来ない。

捕まえると、反り返って下唇を伸ばして
噛みつく自衛行動を起こすが、
成虫同様に幼虫も噛まれると
出血する怖れがあるほど力が強い。

本種が成虫になるまでの期間は5年といわれ
(幼虫で越冬)、その間に10回ほど脱皮する。

脱皮を繰り返し成長した幼虫は、
複眼が斜め上に飛び出し、
下唇の鋏部分がマスクのように口を覆う
独特の風貌となる。

終齢幼虫は体長が5 cmほどになり、
背に鱗状の翅ができる。

よく晴れた夏の夜、
泥をかぶった幼虫は羽化をするために
水面上の石や杭などに姿を現す。

体が滑り落ちないように爪を立てた後に、
背が割れて薄緑色の成虫が現れる。

成虫は頭部と胸部を抜き、
一度腹端だけで幼虫の殻に引っかかって
逆さ吊りになった後に、起き上がって腹部を抜く。

翅は、白く縮んだ状態で殻から抜け出すが、
体液を送り込むことで伸展する。

同時に腹部も伸びる。

朝になる頃には体が固まって
黒と黄色の模様ができ、翅も固まって透明になる。

抜け殻を残して飛び立った成虫は
1~2ヶ月の間に小昆虫を捕食して生殖巣を成熟させ、
繁殖行動を行う。

自転車屋の生き物歳時記  オニヤンマ